【流行と衰退】私が原宿系アパレルを辞めた理由【消えゆく文化】
さて、昨日の記事にて私は
『元々2019年内には退職を検討していた』
と書きました。
なぜ大好きなこの仕事を辞めようと思っていたのか
それは時代の流れと共に変化してきた
アパレル界の現状こそが最大の理由です。
今回は3つのセクションで書いてみます🖋
- 原宿系というジャンル
- 生き残りをかけ変化したブランド
- アイデンティティの損失
【原宿系というジャンル】
私の勤めていたお店は原宿を拠点に置くブランドの
寄せ集めセレクトショップ。
パンクやロリータと呼ばれるジャンルを
主に取り扱ってきました。
きゃりーぱみゅぱみゅさんがデビュー当時
着ていたお洋服だと言えば大体イメージがわくかと。
個性的で華やかな原宿ファッションですが、
2017年ごろから相次いだ業界全体での
店舗の閉鎖、ブランドの倒産、雑誌の廃刊
原宿系を着ないという方にも目に見えるほど
衰退、という言葉を連想せざるを得ない現状であることが事実です。
【生き残りをかけ変化したブランド】
「衰退してきたから辞めたかった」
私が辞めた理由はそんなところではありません。
むしろ再興の為に、と店舗業務を越えて
個人での企画として様々なイベントを開催しました
それについてはまた別の記事で…💭
それでもやはり退職を考えた最大の理由は
ブランド側の変化です。
老舗を含む多くのブランドが終了していく中
生き残りをかけて試行錯誤をはじめた
かつての私の店の取り扱いブランド
圧倒的に個性重視で機能性は二の次、
高品質で決して安くはない1点物や少量生産が
何よりの魅力である原宿系
一方世の中の流行は『シンプル』
そして『ファストファッション』
ミニマリストなんて言葉も人気です。
安くて無難な可愛さ、どのシーンでも
誰とでも気軽に着られる使い勝手の良い服
言うなれば原宿系とは真逆のスタイル。
ですが、私には徐々にいくつものブランドが
後者の生産方法に似た形を取り始めたように思えてきたのです。
【アイデンティティの損失】
具体的にどういった変化であったか、と言いますと
これは5〜10年前からこのファッションがお好きな方はお気付きの変化でしょう。
実際に私は店頭で多くの顧客様に
「あれ?このブランドこんな感じだった?」
との質問を受けました。
異素材を組み合わせ
奇抜な柄を掛け合わせ
布を重ね合わせ
独特のシルエットを作り上げることを
得意としてきたブランドたちが
いつのまにかワンパターンなTシャツに
黒無地のみをベースに
いくつかのサイズ展開をつけ
過去のプリントを使い回したデザインを
"新作"として発表しはじめた頃
一時的なものだと信じたかったけれど
何度入荷を繰り返してもそれは変わらず
生地もすっかり薄くなり品質も低下する一方
さらにサイズ展開と僅かな色の違いによる
カラー展開が各2〜3点ずつ届くので
店内は飽和状態。ストックも常に限界で
届いては返し、届いては返しと
店頭接客よりも動かない商品の入れ替え作業となるだけの日々
店内を見渡す限りの黒いパーカー。
どこかへ消えた"個性派"の看板…
量産の形態、ファストファッション界のやり方に近づいていました。
長年の顧客様には
「ビッグTはもういらないんだけどなぁ…」
と言われ
それぞれのブランドのかつての姿を知らない
新規のお客様には
原宿系セレクトショップにも関わらず
「あまり派手なのはちょっと…」
と言われるようになりました
これが今からの"原宿系"になっていくなら
私の求めるものはもうここには無い
個性派でマイノリティを恐れない
強くて美しい大好きなあの世界を望むなら
もう何かするのは内側からではなく、
外側からでないと無理だ
そう感じて退職を検討しはじめたのが
昨年の秋頃でした。